『ゆめぇちゃんのさがしもの。』が届いた。先日、クラウドファンディングで支援させてもらったもの。この著者である登坂さんは、昨年12月にお会いしてから、新たな世界をみせてくれる人だ。

この絵本はご自身がモチーフになっていて、そのストーリは限りなくリアルな経験なのだろうと思う。絵本をかこうと思ったのは自分自身がヘレン・ケラーを読んで勇気をもらった経験によっている。10回ぐらい丁寧に読むといろいろイメージがわいてくる。

この絵本の売上は、福島の海で泳げなくなってしまった子どもたちを千葉の海で泳がせてあげるプロジェクトに充当するとのこと。自身の体験→クラウドファンディングで絵本づくり→絵本を販売→販売売上で福島の子どもたちを千葉の海に招待、という一連のプロジェクトだ。しかも仕事のほかでこれをやっていて、なんともパワフルだ。プロのボディーボーダーのときの練習からしたらたいしたこともないのかもしれないけれど、自分からするととてつもないことをやっている。

しかも絵本はカバーの素材とか、製本の仕方とか、自分の書籍のイメージを超えたことをやっていて、なんかモノとしての価値を感じたりもする。本を読まれるモノだけど、置いておかれるモノもあるのではないかと思わせてくれる。これを読んだ人は、改めて読むことは少なかったとしても、なかなか手放せない本になるのは間違いない。

こういう書物は、本当に小さいのだけれどもその世界は限りなく大きいと思う。出版不況だから本が売れないとか言っている場合ではなく、もっともっと可能性を探る必要があるのだと思う。

今、書いていて思いついたのだが、「出版不況だから本が売れない」という表現は、出版に関する記事の紋切り型のリードで見られるのだけど、出版不況だから本が売れないのではなく、本が売れないから出版不況に陥っているというのが適切。不況は、原因ではなく結果だ。したがって「出版不況だから本が売れない」という表現はおかしいし、出版不況かだら売れなくても仕方がないというのは思考停止としかいいようがない。もっと言うと出版売上に関するあらゆるデータは1997年ごろの「好況」の数字には絶対に戻らない。それどころか今まで見事なまでに右肩さがりだ。だとするのであれば、不況という言葉を安易に使うのもいかがなものかと思う。

話をもとに戻すと、『ゆめぇちゃのさがしもの。』のように本とプロジェクトを活かす方法があるし、先日の『未来も魚を食べる通信ーいさりびー』のように、商品と組み合わせる方法もある。こういう組み合わせとしての書籍の可能性は大きい。こういう小さい書物の大きな世界を作ることが仕事だと思う。

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