「紙の本は嗜好品」と考えるときになってきたと思う。紙の本は、著者が書いた原稿以上の価値がある。ある人達にとっては、文字を入れる「器としての書籍」が価値を増す。紙質だったり、書体だったり、余白だったり、装幀だったり、紙の重さだったり。所有していて気持ちがいいものという前提が含まれるのであろう。葉巻のようなものかもしれない。去年おつきあいした著者が打ち合わせのたびに葉巻を吸っていて、いろいろ聞いたときのこだわりが、なんとなく本作りに似ていると思った。葉巻が言い過ぎであれば、酒と同じぐらいの感覚かもしれない。飲む人もいれば、そうでない人も結構いる。

嗜好品なので、読者層を大きく考えてはいけないし(無理に小さくすることもないけど)、ありきたりの本は作ってはいけない、ということになる。ありきたりとは何か、と考えると、ほかの人でも作れそうな本ということかもしれない。そして嗜好品だから、紙の書籍がもつ文字情報以外の特性にたいしても、こだわりをもって自分が楽しめることが大前提だと思う。こういう本はいかにしたら可能か、ということから考えたほうがいいのかもしれない。

紙の書籍は電子書籍と対比されるけれど、それはちょっと違うような気がする。電子に適しているものは電子でやるべきだと思う。それはニュースだったり、情報だったり。それは速報性をいかして電子でやるべきことだ。問題は、電子でもできることを紙の書籍でやろうとすると、いっきに紙の分が悪くなる。重いし、お金がかかるし、アップデートはできないし。

昨年度の日販のデータが先日発表され、電子の伸びが指摘されているが、それは必然。そういう変化をめぐり、業界の構造を評論、批評する人も多いが、それはそれとして、自分がどういう立ち位置で関わるかを考え続けなけばと思う。

※クライアント参照用

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