ビジネス書のタイトルは書籍の内容を端的に示していることがよいとされていて、それはそう思うのだけど、でも最近は「何が書いてあるのか」という妄想を駆り立ててくれる本をあえて読みたいと思っている。むかしはそんな妄想を持ちつつ本を読んでいたような気がする。

 

今読んでいるのは『小さな建築』という本。文字通り「小さな建築」をイメージして読み始めたら、序文に

「小さな建築」とは、寸法が小さい建築ということはありません。私たちが持って生まれた五感が、その中でのびのび働く建築、あるいは私たちの心身にフィットする建築、それとも人間が小さな点になってしまったような孤独感や不安感を感じさせない建築のことだといえばいいのでしょうか

とある。いきなり食いつかせる文章。しかも「大空間がいけないのではないのです」とありアタマの中は「???」。ますます好奇心をそそられる。

ただこの本を手にとってもらうためには、こういう地味なタイトルは好ましくないのだろう。現実に、自分に人からオススメされてこの本を読んでいる。ただ本との出会いはそもそもそんなもので、読者を煽って買わせるものではないのかもしれないとも思う。

タイトルだけ激しくして、内容はきわめてふつうという本も多い。きわめて地味だけどめちゃくちゃ良書もある。その感じ方は人それぞれだけどどういうつもりでタイトルをつけたのか。作り手の心理を妄想するのもおもしろい。

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