先日、このブログで触れたバーバーマスについて、その後あった人から、「その人ってどんな人ですか?」という質問を受けたのですが、うまく説明できず…結構勉強したのに…と思いつつ、この本を引っ張り出してきました。

 

この本は、タイトルのように、30人の哲学者に人生の悩みを解答してもらう、という趣旨です。どんな悩みをだれに答えてもらうかが、キーになります(これを考えるのが結構高度な気がします)。

どんな人でも、話せばわかり合えますか?

ハーバーマスへの問いは、「どんな人でも、話せばわかり合えますか?」です。コミュニケーションは共同行為。理性を使ってコミュニケーションをするときに、「相手を説得するために理性を使うのではなく、あくまでも開かれた態度で相手の話を聞き、共に何かをつくり上げていこうとする態度が求められているのです」と説明されています。別段難しいことを言っているわけでもないような気もします(『コミュニケイション的行為の理論』はややこしい本ですが)。この本での細かい議論は省きますが、上記の問いに対しては、「説得ではなく合意を目指すことで他者とわかり合える!」というのがハーバーマスの答えになっています。もちろん著者が考えたことですが。

だれにどの質問をぶつけるか?

こんな調子でQ&Aが書かれています。中には、「何が起こるとすぐにきずついてしまいます。もっと強い心をもちたいです」「うつっぽい状態から抜け出せないのですが…」「親友と呼ばれる人がいません。どうしたら親友ができますか?」「社会の歯車になっている気がします。どうすれば主体性を持って生きられますか?」「何かが起こるといつもすぐに凹んでしまいます」「いつもつい、だらだらして、時間を無駄にしてしまいます」などの質問もあります。これらの質問をだれにぶつけているかを考えるのも楽しいです(解答は最後に)。ほとんど正解できませんでしたが。

最後に

哲学は「元気にいきるためにある」とこの著者は考えています。だからこそこの企画ができたのです。哲学にも捉え方があり、「真理を追求するもの」「自分を理解するもの」などと考えていれば、まったく違った企画になっていたはずです。本づくりをするときには、人の世界観を把握することは大事だなと思うと同時に、日常の語で書けることのすごさも感じる本でした。

【解答】——————————

・何が起こるとすぐにきずついてしまいます。もっと強い心をもちたいです→ニーチェ

・うつっぽい状態から抜け出せないのですが…→メルロ=ポンティ

・親友と呼べる人がいません。どうしたら親友ができますか?→アリストテレス

・社会の歯車になっている気がします。どうすれば主体性を持って生きられますか?→マルクス

・何かが起こるといつもすぐにへこんでしまいます→ヘーゲル

・いつもつい、だらだらして、時間を無駄にしてしまいます→ハイデガー

==【昨日の活動・所感】==================
・上記の本の装丁は、寄藤文平さんのところの文平銀座。いつもながら、作りこみの深さに感動。
・朝、Skype打ち合わせ。GWは遠出しなかったけれど、リラックスできた。部屋の掃除、本の整理ができたのがよかった。

 

 

 

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