artという単語には、「芸術」のほかに、「技術」という意味もあるので、翻訳本などでart=技術と訳すべきところが多いのでしょうが、日本語の「技術」という言葉の語感とartとは違いますと感じます。

artの定義は?

artを英英辞典(Longman Dictionary of contemporary  English)で引くと、6番目の定義として、以下のように定義されています。

art: the ability or skill involved in doing or making something

通常、この定義を「技術」と訳しているのでしょう。ただ、翻訳書で原書タイトルにartが入っている場合の扱いはさまざまです。

artはどう訳されているか?

この本の原題は、HUMBLE INQUIRY-The Gentle Art of Asking Instead of Tellingです。副題に入っているartを「技術」として翻訳書のタイトルに入れています。

翻訳書に入っていて、原題にはない

翻訳書に「技術」が入っていても原題に入っていない場合があります。

この本の原題は、INFLUENCER: the power to change anything。artという言葉は使われていません。

この本の原題は、ARE YOU READY TO SUCCEED?。これもartという言葉は使われていません。原題に使われていないのに、翻訳書にする段階で、「技術」という言葉を入れていることがわかります。

原書にはあるけれど、翻訳書にはない

他方、原書にはartという言葉が入っているけれど、翻訳書のタイトルには入れていないケースもあります。古典になっているこの本の原題は、The ART OF LOVINGです。意外に感じる人も多いのではないでしょうか?

この本の原題はTHE ART OF CHOOSINGです。ARTの部分を「科学」と訳しています。個人的にも「科学」のほうがしっくりきます。

最後に

どの単語をどう訳すかは、画一的に判断できることではありません。訳者と出版社が原書のイメージやメッセージをいちばんよく伝えられる言葉を選択しているはずです。ただ、和書のタイトルを含め、「技術」という言葉が意外に多く使われているなと感じます。「技術=身につけられるもの」というイメージがあるからかもしれません。ただ原書のイメージとはずれている場合もあります。翻訳書を読むときは原書のタイトルをチェックすることをおすすめします。

==【昨日の活動・所感】==================
・企画書仕上げ→提出。2ヶ月ぐらい前に会社を辞めた人と会う。あきらかに働き過ぎた感じ。とってもいい仕事をしていたのに残念。力を抜くことができないと、長続きしない。自分もできなかったけれど。

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