昨日のエントリとも関連しますが、本を作るときには、レベル感を大事にしています。「だれに向かって何を書くか」がいちばん重要ポイントですが、その際に気をつけるべきことは、想定したレベルに加え、その下のレベルとその上のレベルを意識するということです。

 3つのレベルで考える

下のレベルに書かなくてはいけないこと、書いてはいけないことを考えつつ、上のレベルでも同じことを考えます。つまり想定読者の上下を明確すると書くこと絞れることがあります。下のレベルには用語説明は必要であっても、真ん中と上のレベルには必要ないことが多々あります。逆に、上級レベルには必要不可欠であっても、真ん中のレベルと下のレベルには必要ないことももちろんあります。自分が書いている想定レベルにとって必要な内容かどうかは、上下のレベルを考えてみると、書くべきことが絞られてきます。

ページ数も3段階で考えてみる

ただ、これもページ数との兼ね合いがかなり大きいです。ページ数があれば、入れたいけれど、ページ数に余裕がなければ削るというケースもあるでしょう。そのときは、原稿を書いてる最中にやや優先順位が落ちるな、という箇所には、「優先順位下の記号」を入れておくといいかもしれません。※※のような記号をその項目の横に入れておくのです。そうすると、ページ調整のときに楽になりますし、本文には入れられなくても、「コラム」として入れ込むこともできるかもしれません。こういう判断が原稿整理中にできるのは、編集者にとってもありがたいことです。

 9つのマトリクスでシミュレーション

極めて形式的に表現すると以下のようになります。理想は⑤の部分です。ただ9通りに書き分けるべき、と言いたいわけではなく、書くときに書くかどうか迷ったら、このマトリクスに当てはめてみるのはひとつの手だと思います。

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最後に

書き分けができるのは、著者にとって大きな強みです。「どんなページ数(文字数)でもどんなレベルでも書けますよ」と言えたら最強です。もちろん限界はあるでしょうし、この考え方に無理があるケースがあるのも承知しています。ただ、レベルとページ数が本の印象を決める大きな要素であることは間違いありません。編集者も含め、作り手側が書きたいことだけを書いても意味はありません。とくにビジネス書の場合はあくまでも読み手に気持ちが向けるべきと思っています。

==【昨日の活動・所感】==================
・Skypeミーティング、コンサル、書店周り。話題になっている本や書評に取り上げられた本は店頭でいい場所に置かれる。たまたまかもしれないけれど、同じような店作りをみると、売れる本とそうでない本はますます二極化しそう。なんか恐怖だな。

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