本を書くときに、読者が読後にどんな気持ちになるかを考えることはとっても大事なことです。「すげー」「よし、おれもやるぞ!」「泣けてくる〜」「すごい便利」「同感!」「感動!」「難解!」などなどさまざまでしょう。どんな言葉がでてくるのか、こういう単純な言葉をイメージしながら本づくりをするのも一案だと思っています。

読後感を考える

そういう意味で、この本(『できる人はダラダラ上手(草思社刊)』)は少し残念だったかなと思います。批判でなく、意見として受け取ってほしいのですが。
この本は、目次を見ても明らかなように、何もしないことの重要性が書かれています。忙しくしないようにすることの意味は、皆どこかで感じていることであり、結論そのものはそんなに衝撃的ではなさそうです。しかも、神経科学研究者の著書なので、前頭前皮質、海馬、新皮質、頭頂葉外側部、内側前頭前皮質、前帯状皮質などの専門用語がかなり多くでてきます。
Intro:わたしたちはなにもしないほうがいい
Chapter1:いつから、なにもしないことが、罪になったのか
Chapter2:脳は何もしていないときほど活発に活動する
Chapter3:万有引力の法則もリラックスしている瞬間に生まれた
Chapter4:忙しすぎる子ほど、創造性に欠ける
Chapter5:人間は、オートパイロットを求めている
Chapter6:タイムマネジメント教が現代人を滅ぼす
Chapter7:嫌われ者のノイズこそ愛すべき友
Chapter8:シックスシグマは脳の発作である
Chapter9:労働が、地球を破壊している

結論ではなく、プロセスに意味がある本!?

この本はなにもしないことの優位性を実証した研究にフォーカスがあたっているので、当然のことなのですが、一般読者には読みにくいかもしれません。内容を読むと、今まで証明しにくかった分野の研究だとわかります。つまり、結論は、多くの人になんとなく馴染みがあるけれど、プロセスが研究者にとってはとっても貴重といえそうです。むしろ専門書にすべきだったのでは?という気もします。ちなみに原題は、AUTOPILOT-The art & science of doing nothingです。

最後に

翻訳本の編集は専門ではありませんが、どのような形で日本に紹介するのは、難しいところです。この本はソフトカバーで1500円の設定なので、より多くの人に読んで欲しい、という意図が見えます。研究結果にもとづいて、高い専門性をやさしく解説するアプローチは好きなのですが、一般向けと考えると、ちょっと記述が難解すぎた&結論にインパクトが少なかったかもしれません。
==【昨日の活動・所感】==================
・年度末とか全く関係ないけれど、やること多い。体調今ひとつだけど、頑張らないと。

Related Articles: