今、編集の案件で大型企画が動いています。シリーズ5〜6冊になる予定で、このシリーズが売れるとその次のシリーズも構想済みです。これに手を付けると大量のシリーズになりそうです。この企画は他者との差別化を狙っています。

競合書研究から立てる企画

「これだけ本が溢れていれ、どれだけ差別化できるか」という声も聞こえてきますが、細部にこだわればこだわるほど、差別化は可能になります。ひとつひとつは、わずかな差ですがその積み重ねが新たな価値を生むと思っています。また誰しも、競合書や他社本を読んだときに、違和感を感じることがあると思います。怒りを感じることさえあります。「自分だったらこう書く」「この内容を入れた方が価値がある」「こういう書き方はわかりにくい」など、研究対象として読めば、企画のネタになるものはたくさんあるはずです。というよりも、こういう気持ちがないと書けないはずです。著者とともに、こういう感情を共有しながら、細かいところまでつめていって本づくりをすることがあります。

著者の知識の棚卸しから立てる企画

また別のアプローチもあります。著者の独自の経験を全面に表現する方法です。こういうケースは、著者自身その価値に気づいていないことが多々あります。自分のことはあまりにも当たり前だと思っているからです。通常は、打ち合わせで話題にならないのですが、たまたま打ち合わせの雑談や会食の場でその価値に気づくことも多いです。

自分が気づいていない価値に気づく

自分としては、そういうネタに数多く知っておきたいという希望があり、クライアントさんには、書きたいと思っているテーマのより範囲を広げて、棚卸しをしてもらっています。関連キーワードをどんどん出して行き、それを(現段階では)扱わない理由を深掘りしていくのです。細かく突っ込んで行くと、考えがまとまっていなかったり、声のトーンが弱まったりする部分があり、その理由をさらに聞いていくと、実はそこまで考えていなかったとか、可能性を感じていなかったなどと気づくことが多いのです。自分のことはよくわからないけれど、人のコトは見えますね。

キーワードを深掘りする

昨日のコンサルはまさにそのパターンで、打ち合わせの中で出してきたあるキーワードを深掘りしていったら、「そのキーワードを本全体の20%ぐらい入れられたらおもしろい本になる」という結論になりました。競合書の研究から生まれる企画とは別のアプローチです。もちろん私としては、マーケティングをしなくてはいけないので完全に競合書を無視するわけではないのですが、少なくともクライアントには、あまり競合とか意識しないで、構想して欲しいと思っています。

まとめ

こういう過程を経験すると、編集者が著者に書いてほしいと思っているテーマも、著者が自分が書きたいと思っているテーマも、一方的に考えているだけでは不十分だということがわかります。両者の突っ込んだ議論が、企画をぐっと深められるのです。出版社に勤務していたときは、担当書籍が多すぎて、こんなに打ち合わせに時間をかけられなかったからこそ、今やっていることは意味があると思っています。企画の質を著者の満足度を上げるためには、まずは考える時間とアイディアを刺激し合う環境が必要なのです。

 

==【昨日の活動・所感】==================

・午前中筋トレのクラスへ。その後、新橋で出版コンサルして、コワーキングに移動して仕事。9時からボディーワークのクラスに参加して、夜中ランニング。

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