昨日は市川さんの新刊『亭主啓白』の出版記念バーティー。その場にいた人はみな市川さんと縁のある人たちなのだが、どの方とも波長があう気がして楽しかったのだけど、何より感動的だったのは、料理の美味しさとスタッフの方の暖かさ。どれも市川さんが築いてきたものなのだと思う。どれだけ準備に時間がかかったのだろうか。

会の冒頭でも話をさせていただいたのだけど、市川さんの仕事は、素材を見極め、素材と対峙し、その素材の価値を引き出すべく「最小限の手」を加える仕事だと思った。それがプロの仕事だと。どうでもいい素材を圧倒的に手を加え、提供されるものとは、まったく別のプロセスだ。当たり前のようだけど、当たり前のようにできているかどうか。

素材という言葉を原稿に置き換えると自分ごとになる。原稿に圧倒的に手を加えなくてはいけないのは何ゆえなのか。自分がスッキリするためであってはならないと思う。向こう側では著者がモヤモヤしている。逆に、「自分が直したところしか直さないのか(ちゃんと読んでいるのか?)」という著者もいる。原稿をいかすのも殺すのもさじ加減だ。それは相手と向き合うことから始まることを痛感する。

「亭主啓白」は新しいことづくめだった。漢字4文字のタイトルも初めて、カバーなし、帯なし、見返しなしも初めて。イラスト100点も初。箔押しはたぶん3回目だけど、表紙と本文しかない本では初めて。こういう本の発想はなかったけれど、必然的にこうなった。クライアントは自分が活躍する場を提供している人だと思っているのだけど、本当にそうだと思った。今回の出会いがなければ、こういう本は作れなかった。

最近、いろんなことがつながっているように思える。3年ぐらい前はやめようかなと思った編集の仕事だけど、やるべきは今の仕事なのだと思う。

〜新刊情報・西荻窪の玄米菜食のお店「米の子」亭主が語る素材と感謝 亭主啓白〜
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