『7つの習慣』の第4の習慣の前に、相互依存のパラダイムという文章がある。私的成功から公的成功にスムーズに移行するために前提となるキーワードが出てくる。その言葉は「信頼口座」。信頼に残高があって、礼儀正しく接し、親切にし、約束を守れば残高が増える。残高があると、いざというときに、それを引き出して使うこともできる。「私の言葉に足らないところがあっても、あなたは私の言いたいことを察してくれるだろう。たった一言で仲たがいする心配はない。信頼口座の蓄えが多ければ、コミュニケーションは簡単に、すぐに効果的になる」。

逆の態度をとれば、残高は減っていく。残高不足になることもある。「信頼口座がからっぽの状態は、まるで地雷原を歩くようなものだ。言葉一つに気を使い、相手の顔色をうかがいながら言葉を選ばなければならない。緊張の連続だ。わが身を守るために裏工作に奔走する」。

信頼口座の残高を増やす預け入れは6つ。「相手を理解する」「小さなことを気遣う」「約束を守る」「期待を明確にする」「誠実さを示す」「引き出してしまったときには心から謝る」。この順番が大事だと思う。

どの預け入れも書籍では詳細が語られているが、すべてのコミュニケーションはここに原点があると思わせる。常にこれを行うことは難しいのだけど、それは自立した人ができること。つまり、この預け入れができないということは、第1〜3の習慣が身についていないということなんだなあ、と思わなければ。私的成功は公的成功に先立つ。

ここまでくると、インサイドアウトという言葉は、自分と内面と向き合い、自分が大事にしているものを確認してから、他者とのかかわりを考えるということと理解できる。「人間関係を深めるテクニックやスキルがあるとすれば、それは真に自立した人間から自然と出てくるものである。だから、どんな人間関係でも、まずは自分の内面に土台を築かなければならない」。人格主義からでてくるテクニックと個性主義によるテクニックが存在するということか。

いろんなことがうまく行っている(ように見える)人は、こういうことができていそうな気がする。かつて「本業以外のことを学びさない」と自分に言ってくれた人のことが頭に浮かぶ。この手のことは、一度できたからといって、「はい、クリア」というものではなく、常に「できているか?できていないか?」を自問しなければならない。

ここを今一度確認してから読み進めると、第4の習慣「Win-Winを考える」とか「P/PCの関係」の土台がここにある気がする。前回読んだときとはまた違った発見。明日、アルバイトのふたりにちょっとだけ伝える。

ちなみに、信頼残高の原語はPersonal Integrity Account。Integrityはとっても訳しにくい言葉だと思う。Oxford によると、「The quality of being honest and having strong moral principles.」。

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