仕事をしていて、判断に迷ったり決断できないときは、過去を振り返るとヒントが見つかることが多い。「あのとき◯◯したから、今回も△△ではなかろうか?」「あのとき☓☓だと思っていたから、今回も◯◯ではないだろうか」ぐらいの感じ。進むべき方向は過去が教えてくれる感じ。不安は消えないけれど、少なくなるのは間違いないし、無駄打ちが減ると思っている。

ただ、人はだれもが限定的な経験、限定的な合理性の中でいきているし、『7つの習慣』風にいえば「だれもがレンズを通して、現実とあるべき姿を描いている」。この限定性を緩めることや他人のレンズの多様性を知るには、やはり書籍を読むことと、人と会うことのふたつだと思っていて、これらをちゃんとすることを今年から強く意識している。

本は読んできた思ってきたけれど、読み直すとまったくその本から受け取る印象が変わっている。読み流さず、メモをとり、それをInstagramにアップすることをとりあえず続けている。新たな本を買うより、本棚にある本を読み直すことが多い。自分と価値観の会う人がお勧めする本はノーポチするけど。

この間、過去を振り返っていたら、自分の人生は、教員として、編集者として、学生として、かなりの時間を英語に接してきたことを思い出す。今はまったく触れていないな、と思い出し、本の感想を英語で書いてみることにした。イギリスの大学院で英語で論文を書いたとは思えないほど、鈍っていてびっくり。しばらくリハビリが必要な感じがする。

大学院の論文といえば、なんといっても先行研究をおさえておくことが必須。自分が考えていることはすでにだれかが考えているはず、という前提で文献をあたる必要がある。イギリスの大学院ではそれが足りなくて、思い切り不合格になった科目を思い出す。Review the literature!とgraderのコメントに大きくかかれてあった。文献をちゃんと読め、ということ。日本の大学院ではそのへんは甘かった記憶がするのだけど、「自分で勝手に考えたのではなくて、過去の研究をふまえて、自分が考えたことを今書いていますよ」ということを伝えなくてはならない。そうしないと論文の価値はないどころか研究者として失格ということ。

物事を深く語るには、歴史が不可欠と思っていたら、昨日読んでいた本に「コミュニケーション戦略を学ぶためにはいったい何から始めればよいのでしょう。もちろん最新のトレンドを追うことも大切ですが、こんなときはまずは立ち止まって歴史的な変遷や流れを把握することが大切だと僕は考えます」(『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション』)と偶然書いてあったのでメモしておいた。

自分は、原稿を書くときに、その人の過去を振り返る(Review your life!)ことを基本としてしているし、時系列がない文章をあまり好まないのは、こういう経験に源があると思う。日本の大学院で勉強していたのは哲学、イギリスではMedia&Communicationsだったのだけど、どちらも過去を振り返って、これからを語る作業の中で、今やっていることがより意味があるかどうかが導き出されるということに今さら気づいたりする。

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