最近、飛び込み営業の人も含めて、いろんな人とお会いする中で思うことは、やっぱり自分のやっていることは伝えたいよね、ということ。相手のことを知りたいと思いながらも結局は自分のことを知ってほしいという気持ちも当然あるわけで。だから企画や手紙の書き方とか気持ちの伝え方を学ぶ機会への需要は大きい。話し方講師とかプレゼンテーションを教えている人たちは、こういうことのプロといえる(そうでない人もいるけど)。

ただ、カーネギーの『話し方入門』を読むと、話し方は、単なるテクニックで習得できるものではないことがわかるし、コーヴィー流にいえば、成功には人格が必要なんだけれど、そこには伝えるという行為が必ず含まれている。

二面性や不誠実など人格に根本的な欠陥がありながら、人に影響を及ぼす戦術やテクニックを使って自分の思い通りに人を動かしたり、もっと仕事の成績を上げさせたり、士気を高めたり、自分を好きにさせたりしようとして一時的にうまくいったとしても、長続きするわけはない。二面性はいずれ相手の不信感をいだき、どれほど効果的な人間関係を築くテクニックを使ったところで、相手を探ろうとしているとしか見えないだろう。どんな巧みな言葉を使っても、たとえ善意からだとしても、効果は望めない。信頼という土台がなければ、成功は長続きしないのだ。基礎となる人格の良さがあって初めて、テクニックも生きてくる。『7つの習慣』

書籍もまったく同じだと思っている。著者と読者の関係を考えると、読者からの信頼関係が築けなければ、成功は長続きしないということだ。ということは何をテーマに書いてもらうか、そのテーマをどのように表現するかがとっても大事な要素となってくる。それは編集者の大きな役割なんだろうと思う。書籍が売れればいい、という気持ちではこういう関係構築は絶対に不可能だ。

コーヴィーは、「才能に対する社会的評価」に恵まれていても、優れた人格を持つことを欠いていれば、その関係にヒビが入ると言っている。優れた人格を持つことにも、信頼関係を築くことも、成功にも終わりはないので、これをひたすら目指すしかないのだと。「書籍で人をつなぐ」と思っているのだけど、それは具体的には著者と読者の信頼関係と作るということなわけで、最近は、そこを目指す奮闘ぶりを書籍で表現したいと思う気持ちがなお一層つよくなっている。品格とか信頼とかという言葉を使うときには、そこを見せることが必須なんだけど、こういう言葉は常に自分に跳ね返ってくるわけで、著者との信頼関係を築くには自分の行動が必須なのだ。

Related Articles: