買われる本と読まれる本は一致しない。買われないと読まれないのだけど、買っても読まない本はいくらでもある。そもそも何かを知りたいという動機で本を買うわけで、「積ん読」になっている本というのは、知りたいという欲求がなんらかの理由で「緊急」ではないことを意味している。
たとえ読み始めても途中でやめてしまうこともあり、それはそれで理由もある。思ったより面白くないとか、期待した内容が得られなさそうだ、急に忙しくなってきた、今はその気になれないなどなど。本を読むタイミングはたしかにある。
一般に出版社からすれば、本を買ってさえもらえれば、その本は読まれようが、売られような、積まれようが、捨てられような関係ない。当たり前のこと。でも自分は作った本はやっぱり読んでほしいと思う。不特定の人に向けた本ではないから余計にその思いが強い。
この間うちから出版した著者のFacebookの友達が、彼の投稿に、「一気に読みましたー!」と書いてあったのを見て、かなりうれしかった。著者の身近な人にとって知りたい内容だったと思えるからだ。「一気に」というはなかなか難しい。忙しい現代人に読んでもらうためには、できるだけやさしく、できるだけわかりやすく、できるだけコンパクトに作るのが今のビジネス書のセオリーのようにも思えるが、そうではなく、知りたい内容を満たせば、固い内容でも、分量が多くても、一気に読んでもらえるのだ。身近な人が書いた本の意味は大きい。
読んでもらえる本を作りたいし、もっと言えば、一気に読んでもらえる本を作りたいと思う。そのために何を文章にすればよいのか。その前にどうやって著者から引き出せばいいのか。編集力とかライティング力とか言う以前に、勝負がかかっている。
~書籍情報~
西荻窪の玄米菜食のお店「米の子」亭主がその素材と思いを語る
『亭主啓白』
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